くぼた総合法務事務所の山﨑です。
福岡県は7月30日に梅雨明けしたそうで、夏本番となりました。
日々の疲れを残さないよう、体調管理には気を付けたいですね。
日々の業務について、私が感じたことや学んだことを書かせて頂こうと思いますが、今回は、「会社設立登記のファストトラック化」について書かせて頂きます。
会社・法人登記を法務局に申請した場合、通常は、登記が完了するまでに、約2週間かかります。
会社設立登記のファストトラック化とは、会社・法人登記の中でも、株式会社と合同会社の設立登記を優先的に処理し、原則として申請から3日以内に完了できるようにする取組みのことです。平成30年3月12日から始まりました。
会社名義の口座の開設手続きのように、会社設立後の手続きには、会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)が必要なものがありますが、この登記簿謄本は、会社の設立登記が完了してからでないと取得できないため、当事務所にも、「設立後に融資を受けるための口座開設を急ぐ必要があるから、早く登記を完了させてほしい。」というご依頼はよくあります。
そんな時、このファストトラック化による処理は大変助かります。
ただし、以下のような注意点があります。
① 株式会社と合同会社についてのみの適用である。
② 設立登記のみの適用である。
③ 繁忙期は除かれる。
つまり、設立登記であっても一般社団法人や一般財団法人の場合には適用されませんし、株式会社・合同会社であっても変更登記の際には適用されません。
また、株式会社・合同会社の設立登記であっても、申請件数が多い時期は3日以内に完了しないということです。
今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、法務局内での審査に時間がかかり、登記が完了するまでの期間は不動産登記・商業登記ともに、普段より大幅に伸びました。
当事務所でも、緊急事態宣言が発令中の期間に申請した、募集株式の発行による増資の登記や、役員変更登記などの変更登記は通常より時間がかかりました。
しかし、同時期に申請した株式会社の設立登記は、口座開設を急ぐ事情を添えて申請したところ、申請から5日目に登記を完了してもらえました。
3日以内とはいきませんでしたが、限られた人数で審査していることを考えれば、かなり早いのではないでしょうか。
ちなみに、本来はファストトラック化の対象とはならない一般社団法人の設立登記も、口座開設を急ぐ事情を添えて申請したところ、申請から7日目に登記を完了してもらえました。
たまたま新型コロナウイルスの影響で登記の申請件数自体が減っていたのか、それとも人手不足で忙しいにもかかわらず、迅速に対応してもらえたのか、本当のところは分かりませんが、ちゃんと登記の完了を急ぐ事情を説明して申請すれば、法務局も事情を考慮して、ある程度協力してくれるんだなあと思いました。